一般の大学では講義系の授業ですが美大では主に課題を出され、発表会に向けて作品制作をして、たまに講義に出ていました。
例えば染織テキスタイルでは型染めで風呂敷を作ったり、板染めで浴衣生地を染めオリジナルの浴衣を着てお祭りへ行くなど。
また、私が通っていた美大は山が近くにあり、授業で夏の間に野菜を育てていたり幅広い授業が多くありました。
美大生活は自分の決めた学科で好きな作品を目一杯作る時間でとても充実していましたが、「作った物を誰にどう発信していくのか」「将来これでお金を稼いで生活できるのか」を知る授業は一切無く心の片隅にはいつもお金の不安がありました。
ただし、これは4大や短大にかかわらず不安や悩みは抱えていると思います。特に美大ではお金の話をするのは卑しい雰囲気があり、美術とは相反するものとしてお金について話す仲間はいませんでした。
しかし学費も画材も、人の生活に関わる全般にお金が絡んでいます。
お金について考える習慣を身につけず、ただ学業に専念しているだけでは投資した金額以上の実力が育つ人間に育つのでしょうか?
今回は美大の経験を通して最低限のマネーセンスを身につけお金の不安に囚われない自由な時間を作り、アートに専念していく為に自力で行動したものを紹介します。
独断での行動なので、人によって合う合わないがあると思いますが、学生の人もこれから一人暮らしをする方々にとっても、お金の参考になればと思います。
作品集を作って営業行く
こちらは自分の作品を発信する目的もありました。
自分の絵を販売したりイラストのお仕事を貰うには、作品を必要としているクライアントさんを探す為、メールや電話でアポイントをお願いし契約を取っていかなければなりません。
私はテキスタイルデザインとイラストを中心に制作をしていたので広告系やアパレル会社へ売り込みを行くための商品のRPする冊子(ポートフォリオと呼んでいます。)を、会社へ送る数だけ制作していました。今まで50冊以上制作しました。
大学の課題のためにポートフォリオを作っていたら一冊だけ提出すれば良いので、豪華なパーツで装飾をつけたり、高級紙&高画質で印刷できる会社へ印刷注文をするといった自分の表現重視に制作でき、あまり材料費について考えることがありませんでした。しかし数十冊作るとなるとファイル代、紙や印刷代そして郵送費などがバカになりませんし、アポイントをとったら交通費と時間もかかります。
チリが積もっていく課題と制作コスト&出来栄えのバランスを取れる方法を考えました。
ただお金で使って解決するだけでなく、スキルを持つ友人にお願いしたり、自分で材料を作ったりなど。今社会人となって、これらの経験が商品企画を考える時に活きています。
例えば卒業後、イラストやデザイン画制作の仕事の際にデータで作れる仕事と画材や紙が必要なアナログ制作の使用バランスを考え、画材代や手間の時間を抑えることができました。
また、コストを抑えることで売る価格も高額にはならず多くの方へ売ることができたり、失敗したとしてもコストを把握していたので金銭的な問題のダメージが少なく、すぐに再挑戦へ切り替えれました。
家計簿を付ける
美大から一人暮らしを始めたので身の回りのお金管理も、ほぼ強制的に直面することになりました。実家では見ることのなかった光熱費の請求書もスーパーでの一日文の食費計算など初めは頭が痛くなるほど、お金に振り回されて授業にも手が付かない時期がありました。そこで私が実践したのは1ヵ月にかかる経費を固定費と変動費に分け
固定費は家賃、光熱費、食費、通信費、交通費等1ヶ月に一定にかかるもの。
そして変動費は画材、交際費、イベント代、娯楽費等月ごとに変化するものをまとめて家計簿アプリに登録して見えるようにしました。
その結果月これだけのお金があれば大丈夫という余裕が生まれ、変動費は全て自己投資として使うと決心したので無駄なお金や時間も減り、収入は少なかったですが月にお金が余り貯金ができました。
ちなみに学生の時に貯めていたお金の使い道が分からなかったのでずっと銀行に放置していましたが現在、未来の自分への投資として使う事になったので、目先のお金にとらわれず、お金の「使い方」の軸を固めるのにも効果的だと実感しました。
自分の学業×お金管理
私自身、「もし美大時代の時に学生だからといって勉強だけに力を入れていたら、本当にアートで食べていける人間になれるのか?」と言った事にかなり不安だったので苦手なお金の管理を自分なりに実践していきましたが、毎日朝起きてからの30分ずつお金の支出や使い方の計画を立ててノートに記録していったらお金は自分の目標の実現の為に素晴らしい道具になります。
コロナウイルスで仕事を失っている方々が多くなっている今、自分の内側を見つめ直す時間が多くなっている中お金について学ぶ時間もつくるようにしたらお金に対する不安も軽減されていきます。
そしてどんな立場であれ生きていく上ではお金が必要不可欠な時代ですので、今からでも考えておくべきだと思います。